スケルトン・エピ

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ニコニコ動画は何故日本一の動画サイトになったのか

 ニコニコ動画は何故日本一の動画サイトになったのでしょうか。当然ながらアイデア力や、開発力、資本の力、受け取り側の問題など、様々な理由が複雑に絡み合ってこその成功だとは思いますが、僕が出した結論は「感情のもっとも高い点を共有できる場を提供したこと」にあると考えています。

 

 時代はインターネットの発明まで遡ります。人々は遠くの情報をすぐに得られるツールとしてインターネットを利用し始めましたが、ほぼ同時にメールや掲示板、ホームページの文章を使っての、「人と人とのコミュニケーションツール」としても利用され始めました。人々は自身の想いを文章に書き連ねる事によって、お互いにその想いや感情を共有することを求めていたのです。

 

 当時のメールや掲示板等を通してのやり取りというのは、1週間〜数日間待って初めて返事がくるのが当然で、そうなると相手に贈るメッセージを考える時間も十分にあります。「こんな言葉を返そう」と思った事を何度も何度も練ってから「送信」ボタンを押すのです。いわば「理性を共有できる場」に近くなってしまう訳です。

 

 それに対して、ニコニコ動画では流れる動画に対してその時限りのコメントを残すので「こんな言葉を返そう」等と考えている暇などありません。今思った気持ちをすぐにコメントする必要があるのです。面白いシーンが終了して、数秒経ってから「wwwwww」等というコメントが流れてきても興ざめするだけです。

 

 

 さて、ここまで敢えて名前を出していませんでしたが、Youtubeではそうも行きません。動画の提供者に対する感情をコメントとして書いた時には、殆どの人が一度読み返してから、修正などを施して送信します。これでは理性が干渉してしまうのです。

 

 Twitterニコニコ動画にかなり近いツールです。思った事をすぐにツイートという形で発現することができるので、ニコニコ動画と同じく「感情のもっとも高い点を共有できる」と言えると思います。もし既にTwitterを利用した事があるなら、3日前のツイートを見直してみてください、改めてそのツイート読み直して、今同じ事を世の中に対して発表する必要があると感じるでしょうか。

 

 ここで必要があると感じる方は、もしかするとTwitterの「感情のもっとも高い点を共有できる」という利点を享受出来ていないのかも知れません。一般的なユーザーは「腹減った」とか「おやすみ」とか本当にどうでも良い事をつぶやいています。これらは全く理性が伴わないけれども、発動した瞬間の生の感情そのものです。これがYoutubeTwitterニコニコ動画の決定的な違いと考えています。

 

 

 次に「場の提供」という側面を見てみます。先ほど書いた通りTwitterでも感情のもっとも高い点を共有することは可能ですが、場という側面があまりにも広すぎると考えています。(最近は場を制限するハッシュタグという機能もかなり使われていますが...。)インターネットの発明当初も 各所でチャットというリアルタイムに近いコミュニケーションツールが存在しましたが、これも同様です。ニコニコ動画では、特定の「動画」という共通のお題を用意することで、「同じ場」の中でその時に感じた想いを共有する事ができるツールなのです。

 

 2chにおける実況でもニコニコ動画とほぼ同じ体験を味わうことができますし、ニコニコ動画よりも2chの実況の方が歴史も古いのですが、「多くの人が容易に体験できる場」と考えれば2chはその候補から外れてしまうのはお分かり頂けると思います。(僕も個人的にはニコ生よりはなん実の方が好きでした。)

 

 

 さて最後になりますが、受け取り側の問題にも言及したいと思います。ニコニコ動画のユーザー層は10代〜20代と言われていますが、日本の不景気の影響をもろに受けてる層と言えます。不景気で仕事がなくて、人生の余裕も無く、人と人同士のリアルコミュニケーションが失われつつあります。

 

 そんな中、掲示板等よりももっと高い、リアルタイムに近い、熱い感情を共有できて、ユーザーごとに自分の時間のなかで楽しめる場を用意したのがニコニコ動画でした。逆にこれが流行らない理由があれば、是非教えて欲しい所です。

 

 

 以上が僕が考える理由です。

動画サイトでニコニコ動画を超える感情共有をする為には、ビデオチャット以外に思いつかないほど、ニコニコ動画は突き抜けているのではないかと思っていますが、最近はポータルサイト化するなど、逆走している気配も感じるところであります。ニコニコ動画さんには今後も日本のウェブ業界の先頭を走っていって欲しいですね!!